嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

ポプリ / サンタ マリア ノヴェッラ

こんなにクセありで、こんなに紙一重で、どう考えたって万人受けじゃない香りなのに、
SMNではダントツの人気、
店舗でも品切れになっていることが多々あるという。

実際、私の身の周りには、これを好んで使っている人(特に男性)がけっこういるのです。
そういう私も大好きで、定番のひとつです。
1年のうちでもっとも頻繁にこれを纏いたくなるのは、まさに今のこの梅雨の時期から真夏にかけてです。

初めてボトルから嗅いだときは驚きました。
昔の香水では当たり前だったアルコールのツンとくるような感じとは全然違う、
湿布か樟脳か薬草か、何かそういう「お年寄り」を連想させるような刺激臭が、強く鼻につきます。
ホントにこれが人気なの!?と、思わず疑ったくらいです。

5分もすると、そのツンとした刺激は少々落ち着き
下の方にいる、おそらくハーブやお花や樹脂などが、バラバラじゃなくてしっかりと混じり合って香ってきます。

中心は松脂(松ヤニ)の香り、というと、誰もがすぐにわかるものなのでしょうか?私はわかりませんでした。
つまりは松の木の近くを通ったときのあの香り、
松の葉っぱ(針みたいの)を折ったり、つぶしたりしたときのあのスーッとするような香りと、
わずかですが、樹脂らしい甘さです。

さらに10分もすれば、当初の尖った感じはすっかり影を潜め、
まさに日本のお寺のお堂に足を踏み入れた時のような、
はたまたヒノキの露天風呂にでも浸かっているかのような、
なんとも落ち着いて、癒されて、懐かしいあの香りになって
だんだんと、あのスッキリとした石鹸のような、SMNらしい香りが重なるようにして続き、ゆっくりと消えていきます。

人気があるということは、きっと日本人だけでなく、
世界の多くの人にとって、このポプリの香りは落ち着くし、癒されるし、
懐かしいような気持ちになる香りなのかもしれません。
いや、知らんけど、少々飛躍かもしれないけど。
でも、もしそうだとしたら、それってすごくないですか。
ほかにもありそうでいてどこにもないこの香りに、
異なる文化的背景を持った世界中の多くの人が、揃ってやみつきになっているのです。

発売は1828年。長く続いて愛され続けるものには、やっぱり理由があるんだなと。

サンタ マリア ノヴェッラ(Santa Maria Novella)
ポプリ(Pot-Pourri)
フィレンツェの丘に今も自然に咲き誇る草花や植物の実、樹脂などを素材に、密封された壺の中で30日以上の熟成期間を経て生み出される、伝統的な製法のサンタ・マリア・ノヴェッラのポプリ。そのスパイシーで上品な独特の香りは世界中の方々から愛されています。