嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

エンジェルズ シェア / キリアン

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人気のあるものはとにかく試してみたい!!(遅い)

とはいえ事前情報として「大人」「夜」「お酒」などのイメージが何しろ強く、
そういったものがおおむね苦手で、
特に酒が一滴も飲めない私としては、恐る恐るのお試しとなりました。

そんな腰が引けたトップ、甘く濃厚~~~なアップルパイ!!といった印象。
これはもう文字通りで、フレッシュな果物のリンゴじゃなくてアップルパイのアップルに、
シナモンとバニラ・トンカマシマシ。なんて美味しそうなんでしょうか。

とはいえトップにクレジットされているのはコニャック…しまった。
私はコニャックの香りとやらがわかりません。
このアップル感はそのあたりからきているものなのですか?

事前のイメージよりもアダルト感がないし、めっちゃグルマンやん、とか思っていると、
すぐに底の方から木の香りが立ち上ってきました。私はこのあたりからが好きです。

木、いかにもオークな木の香り。私の貧困なイメージでは例によって木のお風呂っぽくもあり、
はたまた、お酒の入った樽の香りのイメージでもある(詳しくないのでわかんない)。

うーん、この木の香りがとても良いんだけど、
全体として私にはやっぱり甘すぎてちょっとツラ…
とか思っていると、サンダルウッドの仕業か、
これまた木というかお香の系統に感じられる香りが下の方から顔を覗かせてきて、
これが冒頭からの甘さや粉感、シナモンなどとないまぜになって(?)
下から上へ下から上へ、熱感をもってモワモワと立ち上る
炭団の埋めが浅すぎた」または「電気香炉で火力上げすぎた」伽羅のような香りに。

まさかこんなところで伽羅さんに出くわすとは。
何も意図して伽羅にしたわけではなくたまたま似ているのだろうし、
お香としてはちょっと失敗した雰囲気の、少し気まずい伽羅なんですけど、
伽羅はなんでもかんでも良い香りだからOKです。

祖母が「生きてるうちに使いきれないわ」などとぼやきつつ
貴重な伽羅を夜な夜な惜しげもなく、
那覇国際通りのお店のステーキばりに大味に炊いてくれる、
そんな様子が脳裏をよぎったこの伽羅感は、
小一時間ほどアップルパイと並走を続けて消え入ります。
なお、比較的、鼻の近くに噴きつけた場合でないとこの感じは味わえなかったです。

アップルパイは勢いを減衰させ、ほどよくなりながら長いこと香りますが、
私は正直、この甘く美味しい香りを鼻と近い位置に纏うのは厳しい。真冬でも厳しい。

というわけでヒザ裏に使ってみたら、
いろいろひっくるめてほの甘いパチョリっぽくなって、
そうなるとグルマンなニュアンスは意外なほど鳴りをひそめて
ラストにかけて少しスパイシーな大人っぽいパウダリーのいいとこどりみたいになって、
オッ!これなら私でもいける!むしろいきたい!と思いました。
(上りエスカレーターで私の真後ろに立つ人がどう思うかは知らん)

キリアンさんにしては少しお安いし(麻痺)、どう転がっても面白い香り。
人気があるのも頷けました。

キーノート:コニャック、ヘーゼルナッツ、オークウッド
調香師:ブノワ・ラプーザ