嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

ウッド ジャスマン / bdk パルファム

オッ。ジャスミンだって。なんか、他のと違ってキャップがゴールドだし。価格も他のより高いし。高級ライン的なやつなのかな。きっとがっつりオリエンタルで濃厚~なタイプの香りだろうな。したがって、私コレきっとダメだろうな。どれどれ。…ウッ!!お酒のニオイ!!ダメです!やっぱりこれダメです!!ダメでした!!

とか思って一旦店外に退避したのに、何なんですかね。どうしてももう一度嗅ぎたくなって戻ってきました。そして嗅ぎました。…うん、ダメダメやっぱりダメ。こんな濃厚な香りは私には…と思って、でも今度は遠くに逃げたりせずに、店内の別の香りを嗅いだりして、そしてまた、戻って嗅ぎました。ダメだって!こんなん絶対ダメだって!そう自分に言い聞かせ、同ブランドのほかの香りをひとしきり嗅いでリセットしてから、もう一度…

延々とそんなことを繰り返す自分がそこにおりました。具体的に何とは言わないけど、一度「ダメ」と認識したはずのニオイを何度も嗅ぎ直したくなる習性が、人にはありますよね?この時の私が完全にこれでした。嗅いでみてはやや離れ、もう一度嗅ぐ…を延々続ける不審な客と化した私は、やがてムエットだけお願いしてそそくさと退店、帰宅。そして性懲りもなく、また何度も何度もムエットを嗅いでしまったのです。

やみつきとはこういうことを言うのかもしれません。私はわざわざサンプルを輸入し、勇気を振り絞り、一度は逃げ出すほどであったその香りを、よりによって自分の身体に噴きつける行為に及びました。このときにはもう完全に脳がやられており、「なんという至福の香り」みたいなとち狂った言葉を脳裏に浮かべながらフルボトルを購入しそうになる気持ちを抑え、1日過ごしてみることに。

トップは第一印象の通り、何やら大人のお酒のような香りがします。ダバナが最初から効いていて、ラム酒のような、何か甘くて高そうなお酒の香りです。プラムがクレジットされており、確かにプラムはプラムなのかもしれないが、私にとっては梅酒の梅のようでもあって、少し酸味がきいててフルーティ。洋ナシも、きっとどこかにいるんだろうけどよくわかりません。

なお私はドがつく下戸で、お酒に類するものは一切飲めません。香水も、そもそも主成分がアルコールだから、ということとは全く別に、何かお酒っぽい香りのものが多々ありますが、そういったものは受け付けません。…と思ってたんだけど、近年わりとグッときてしまうものが時々あるな。ようやく大人になったのかもしれません。

お酒っぽさは引きずったまま、ジャスミンなのか何なのか、正直よくわからない程度にお花の香りも出てきますが、主役のわりには相当影が薄いです。そのすぐ下に木々と、数々の樹液というか樹脂が待ち構えているのがわかります。時間の経過とともに、冒頭のフルーティな酸味の印象にとって代わるのはインセンスと、さらさらに乾いたバニラの心地よい甘さに下支えされたこれらの重厚なアンバー香。少しウードっぽいとも感じるのは、ナガルモタをそれと錯覚しているのかもしれません。もう絵にかいたような「オリエンタル」な香りです。

この香りのまま、ずっと続きます。1日過ごして好きを確信し、それでもまだ慎重に1週間くらい毎日試して、結局フルボトルを入手してしまいました。第一印象で完全に逃げ腰だったのに、結果的にはドハマリしてしまったパターンでした。そもそもハタチ前後の第一次香水収集癖の頃は、オリエンタルな香りが好きでいつも使っていて原点みたいなところがあるし、なんなら顔もオリエンタルなので、なんだか落ち着くというか、おさまりが良いんですよ。

ウッディなんだけど全体の印象としてはアッパー系で、使いがちなのは平日の日中、つまり毎日の在宅勤務中。私には珍しく、人目を気にせず、本当に自分だけのために使ってる香りです。

WOOD JASMIN / BDK Parfums(Camille Leguay)
・トップ:プラム、ペアー
・ハート:ジャスミン(エジプト)、サンバックジャスミン、バラ(トルコ)、ダバナ
・ベース:インセンス(ソマリア)、バニラ(マダガスカル)、パチョリ(インドネシア)、ラブダナム(スペイン)、ナガルモタ(インド)
BDK Parfums Official Website | House of perfumes



※今日の一曲
好みの原点みたいな普通のインディーロック。原点つながり。

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