嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

ダークアンバー&ジンジャーリリー / ジョーマローン

ジョーマローン人気は根強い。
 
香水大好き、というわけでもない人でも、ジョーマローンなら名前を知ってるし、
フリマサイト等に香水を出品した場合、
ジョーマローンというブランドがついているだけで、閲覧数といいねがパない。
 
(ただし、わりと極端に値切ってくる人が多いのもジョーマローン。
何なのでしょうか、この現象は)
 
なのに気づけば、自分自身はジョーマローンからなんとなく遠ざかっています。
 
あの、大量に陳列された端正なボトル、「天然香料」を大切にした商品づくり、
きめの細かい香りのラインナップ、コンバイニングなる行為の目新しさと奥深さ、
それらを知ったばかりのあの頃は、それなりに心ときめかせていたものでした。
 
なのに今となってはめっきり購入していないし、試してもいない、
新作をチェックしてもいない、一体なぜ、いつからこうなってしまったのか。
 
私の場合、具体的に何を嗅いだときが直接のトリガーとなったか
もう忘れてしまいましたが、
「何嗅いでも同じやん…」みたいなミもフタもない、
申し訳ないくらい大雑把すぎる思いが急に頭をもたげ
以来、あの少し水っぽいような「ジョーマローン臭」そのものに対し
拒絶反応が生まれてしまったのが大きかったです。
 
(他人から香ってくる分には、良い香りだな~としか思わないよ)

そんな中でも唯一、現在も手放せないジョマロがこちらになります。
 
ジョーマローン(Jo Malone)
ダークアンバー&ジンジャーリリー コロン インテンス:2008年
 
トップ:カルダモン、ジンジャー、ベイローズ
ミドル:ジャスミン、オーキッド、スイレン、ローズ
ラスト:レザー、サンダルウッド、インセンス、パチュリ、アンバーノート
 
トップでは少々クセのあるスパイスが申し訳程度に顔を出し、
ジョマロお得意の透明感のあるキレイなフローラルが瑞々しく花を添えながら
低いところで、甘いアンバーが意外なほど力強く香ります。
 
といいつつ、ジャスミンだとか、ジンジャーリリー等の花のディテールは
ぶっちゃけわからんです。私は。
ホワイトなフローラルっぽいなー、ということくらいしか。
 
その後、すぐにスパイスのクセが消えてきて
サンダルウッドやインセンスのオリエンタル感が出てきます。
オリエンタルだけど、全然重くはない。
それでいて、どんどん甘さが出てくるんですよ。
 
この甘さがたまらんのです。
公式ではベースノートとして「キャラ インセンス」と記載があるのですが、
これつまり伽羅のアコードという意味ですよね?たぶん。
 
ウードや沈香について過去にいろいろ言いましたけど、
沈香や伽羅を謳った香水のなかで、
伽羅の香りが一番私にとって好ましく表現されてるのはコレなんですよね。
 
もったいないことに少々、ほかのいろんなものに埋もれている感はあるし、
特にアンバーと混じり合って伽羅としてはちょっと甘すぎる気もするんですけど、
それでも、これは香道の、沈香じゃなくて伽羅が炊かれているときの香気が
空振りにならず、しれっと表現されてると感じるんですよ。
 
いろいろ試したけれど、これはなかなか珍しい、貴重なできごとで
たとえば少なくとも、フエギアで堂々と伽羅を謳っているあのシリーズなんかよりは
ずっと伽羅の香りです。
 
そして、その香りがかなり長く続きます。
夜につけて寝たら朝になっても香ってるし、なんなら翌日にもまだ残ってます。

深く奥行きある香りなのに、繰り返すけど重厚すぎず、
もちろん軽すぎないところも良い。
「時々使う」を、一生続けたいと(いまのとこ)思う香りのひとつです。