嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

ア フエゴ レント / フラッサイ

香水に夢中になる余力がある近頃、ふとTwitterを開くと、TLがザワザワしている。
フラッサイ、フラッサイとザワザワしている。

なんぞ?と調べてみると、それはアルゼンチン初の女性オーナーによるニッチフレグランスブランド。
TLいわく「おそるべし」らしい。

恐るべき良い香り。
興味がわいたので、Tanu様のところでサンプルを注文してみました。

いつものように細やかな心配りの行き届いた、見た目にも幸せなかわいい包装を解き、
さっそく数点試したうち、私があっという間に心を鷲掴みにされたのは

ア フエゴ レント(A Fuego Lento)2018年
ノート:ブラックカラントのつぼみ、オレンジフラワー、ジャスミンサンバック、フルーブ オドランテ、シベット、スエード、トルー バルサ
調香:Rodrigo Flores-Roux

でした。

スプレーで肌に乗せた瞬間、オレンジフラワーを主とした暖色フルーティがはじけた後、
数分もすると、すぐに濃ゆ~いガーデニアがじわりと花開きます。
瞬間、目の前が美しいサーモンピンク色に染まる感じがします。

ガーデニア主体の香りはしつこく甘く感じて苦手なことが多いのですが、なぜだろう、これは大丈夫。

大丈夫どころか、「幸せ」としか言いようのない、とても良い香りです。
ずっと続いてほしいと思う、幸せな香り。かなり甘くクリーミーなのに不思議。
オレンジ(の花)やブラックカラント(のつぼみ?芽?)が、良い塩梅でフルーティな酸味を添えてくれてたりするためなのでしょうか。
わからない。いつも嗅いでるカシスの香りは果実の香りだし。

そのまま夢心地でいると、トップからずっと物陰でひっそりと香っていたジャスミンが、突如として高く香り始めます。

実は私はジャスミン香がとても好きな者のひとりなのですが、これは生花の青臭さのない、
雑味のない、本当にきれいな、まさにサンバックジャスミンです。
これが先のフルーティさとあいまって、やわらかめのゴールドのような感覚。
(関係ないけど、ピンクとゴールドの組み合わせ、カワイイよなー)

暖色フルーツと香り高いサンバックジャスミンという組み合わせのせいか、このあたり、
みんな大好きグラン バル(クリスチャン ディオ-ル)をちょっと思い出します。

そしてこれ、かなり続きます。
人や気候によるのかもしれませんが、朝つけて、仕事が終わる頃にはまだこのミドルノートと思われるジャスミンだった。
余裕で8時間は超えたことになります。

ラストに向かうにつれ、フローラルと入れ替わるようにバニラ…じゃなくベンゾイン?系の甘さに移行し、まだ静かに香りが続きます。
フルーブ オドランテ、というのが何なのかわからないのですが、
わからないなりにググると、どうやらイネ科の植物で、干し草がクマリンの芳香を発するらしい。
これもたぶんラストに感じる香りを構成しているのだと思うのですが、クマリン嫌いの私にはあまり感じられないです。

それと、シベット。おなじみ私の要注意リスト、シベット。
これは、幸いなことに最初から最後まであんまりよくわからなかったのですが、
たぶん全体に少しの芳醇さを添えてくれていたのだろう、とか思って、
忘れた頃に、シャワーを浴びたら急にシベットが主張してきたので驚きました。
とはいえ、「良い香り」と素直に感じられる程度のほのかな香りではあったのですが。

アルゼンチンタンゴの名曲の名を冠し「夜」のイメージのストーリーを持つこの香りですが、
私にとって初めてのフラッサイは、どちらかというと、
休日の朝の心地良いまどろみのような、甘くてクリーミーで幸せなフローラルの香り。
フルボトルほしいなー。