嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

アニマル週間です

これは動物のにおいだ!クサい!等のレビューがついている製品を嗅いでも、
その「クサさ」に共感できないことが多い。

これは、本当の意味で香りそのものを知覚できていないのか?
それとも、その香りを「クサい」と認識することができていないのか?

そもそも自分は「動物の香り」とされるものを正確に把握できていないから、
このような切り分けもままならないのです。
ならば、皆もすなるアニマル臭といふものを、我もしてみむとてするなり。

そういった経緯で、以下4種のアニマル香料をお取り寄せしてみました。

  1. ムスク
  2. アンバー
  3. シベット
  4. カストリウム

ムスク(Habanolide)

ムスクといってもいろいろありますが、まずは市場に多く出回って使用されているという、
オーソドックスなホワイトムスクを選んでみました。
もちろん合成香料ですよ。

わざわざホワイトを冠しているだけあり、悪臭じゃないです。
もっとも、ムスクはもはや「クサい」とされる対象には入ってはいないかと思いますが…

嗅覚が鈍いせいもあり、ボトルからはほぼほぼ香りがわからない。
肌に乗せると、ほのかに、かすかに香ります。良い香りです。
本当に「ほのか」という表現がぴったりの香りかたです。
やわらかいせっけんのようで、なぜか少しだけウッディ感もある、清潔な香り。
なるほどホワイトですね。

別のムスク香料も嗅いでみたいな。と思いました。キリがない。

アンバー(Ambergris)

もちろん、マッコウクジラでおなじみアンバーグリスの方のアンバーです。
正確には、アンバーグリスを模した調合香料。

私はアンバーを謳う香りは(クジラでも、樹脂のアンバーでもどちらでも)
好きだと感じることが多いのですが、今回の香料も良い香りと感じました。
皆さんご存じのあの甘いアンバーの香りそのものです。以上。なんかスイマセン。

希釈ナシのホンモノはさぞかしくっさいのでしょうけど…

シベット(Civet)

このあたりから私には未知の領域です。
よく名前は見かけるけれども、どんな香りか全くわかっていません。
アンバー同様、ガチのシベットのアブソリュートを模した調合香料とのこと。

エッセンシャルオイルとかこういうものは何でもそうなんだけど、
ボトルが開けづらいんですよ。それで、もろもろ試行錯誤していたら、
手違いにより栓がパカッと遠くへ吹っ飛び、同時に滴が口の中に入りました。

クサいクサいと巷で評判で、商品説明にも単刀直入に「悪臭」と記載されていた、
そんな香料の滴が、よりによって私の口の中へ。

頭が真っ白になり、試香どころではない。どころではないんだけど、
何かとても凶悪な、少なくとも人間の口の中にあってはならない味というか風味が、
口から鼻のほうへどんどん通り抜けてきます。

近頃はめっきり少なくなったが、一昔前まで一般的だった公衆便所のあのニオイ。
あれの系統に通じるものがある、シャープな悪臭です。みんな口に入れて試してみて。
慌てて口を濯ぎ、歯を磨いてもムダ。本当に臭いし、しぶとい。
指先についてしまったニオイも全然取れない。アルコールでも取れない。もう地獄ですよ。

はい、確かにこれはクサいです。もう試香するまでもなくクサいのですが、
「動物臭」と聞いて、私がイメージしていた動物園のようなニオイとは少し違う、
と言いますか、そんな単純なものではないということはわかりました。

私はアラニュイが大好きなのですが、ああいう雰囲気のジャスミンの、
生花っぽさを表現しているあの香り、それを強く感じます。
別に香水でなくても、ジャスミンエッセンシャルオイルも同様です。

有名な話ではありますが、ジャスミンのあれは端的に言って糞便の香りなのだそうなので、
動物の悪臭と似ていて当然だし、知識としてはもともと理解していましたが、
にしてもこうして体感すると衝撃が強い。

いや、それだけじゃないんですけどね。それだけじゃなく、何か別な、金属的な?
とても変なニオイもするんですけど、これはまだまだうまく言葉にできないし、
単純な、う○○だなんだといったニオイとは、私の印象はちょっと違いました。
かるくトラウマになりそうだけど、おかげさまで香りはイヤってほど把握した。

どうでもいいけど、アホほど湧いてた食欲がこのとき一気に減衰したので、
ダイエットに良いかもしれません。香料は薬品だから、口に含んじゃダメなんですけどね。

でも、ユンケルの類にも含まれている生薬としてのシベットには、
糖質・脂質の代謝促進効果もあるようです。すごいじゃん。

このように、紀元前/紀元後みたいな意味で、
私の人生はシベット前/シベット後に分かれることとなったのです。

カストリウム(Castoreum)

こちらはビーバーから得られる本物のアブソリュートを50%希釈したものだそうです。

シベットのせいでもう戦々恐々ですよ。
今度こそ慎重に、安全に開封してムエットで嗅いだのですが、
私的には、こちらのほうが端的に言ってウンコだケモノだ動物園だという香りに感じられました。

ツンとした刺激のあるニオイではなく、何かこうかわいげのある悪臭。

田舎の畑の肥料?みたいな系統というか、
主観なのですが、少しあたたかみというか酸味を感じます。

アル ウードを嗅いだとき、どうもしぶとい酸味を感じてニガテだニガテだと感じたのですが、
それは、もしかしたらカストリウムだったのかも?

とはいえ、香水にほんの少しこれが含まれることで香りに芳醇さが増す、
みたいなことは何となくわかる気がしました。口に入れてないからかもしれませんが…

総括

ムスクとアンバーなんかは香料の種類そのものがめっちゃ多そうなのでまだまだですが、
それでも、イメージすら持てていなかったシベットとカストリウムを体験したことは、
われながら収穫だったと思います。

香りのレビューを読むときの理解が深まるし、
「クサい」と書かれている香水のそのクサさを、より具体的に予想できる可能性があるわけです。
自分がこれまでに嗅いだ香りについても、また違った角度から掘り下げて思い起こすことができます。

これ楽しい。よくわかっていない香料を集めて、もっと把握したい。
本当にきりがない。石油王になりたい。