嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

ボワ ドゥ バランクール(バランクールの森)/ メゾンルイマリー

NOSE SHOPで香りを探しているとき、サブカルクソ女時代の自分を思い出す。

わざわざ、インディーズのCD屋を年がら年中訪ねては
敢えてメジャーでないアーティストを漁り、通ぶっていたあの頃。

自分だけが理解できる、一生愛せるような唯一無二の眠れる才能がこの手で発掘され、
その上で広く知られ、世間に理解されのし上がっていく、
そんな筋書きを夢見て、無尽蔵に試聴していたあの頃。

しぬほど恥ずかしい過去ですが、私は当時と比べて大して成長していない、
NOSE SHOPにいるとそう思います。

自分の拠点から徒歩圏内にあるにもかかわらず、
そういう記憶がよみがえるためにどうも避けがちなNOSE SHOPに、先日久しぶりに足を踏み入れ
ヌケヌケと発見した好みの香りがバランクールの森でした。

ひとことで言って木の香り。それも何か、ある種の紙のようなタイプの香りのウッディ。
ときどきこういう香りがあるけど、サンダルやシダーが、主張しすぎないスパイスと一緒になると
だいたいこういう感じになっている。私はこれが好きなんです。

そう、好きなものだったら、唯一無二である必要なんか別にないわけなんですよ。
そして、それを延々と探し続ける必要もないんですよ。
「そんなもの」はそもそもありはしないのです。子供の頃の私にはそれがわかりませんでした。

これを踏まえ、ベースには軽やかなバニラのような、クセのない甘さがずっと続いています。
たぶんアンバーウッド。

そして特にクレジットされてはいないけど、すべてが消え入りそうな最後の最後に
本当にうっすらと、フローラルのような香りが出てきたんですよ。
こういうのに弱い。誰にも気づかれなさそうな、自分だけがわかってる香り。

自分だけが楽しむための香りといってもいいくらい、全体にほのか~な香り立ちなのですが
それでいいのです。サブカルクソ魂は今も生きています。

メゾンルイマリー(Maison Louis Marie)
ボワ ドゥ バランクール(Bois de Balincourt)

トップ:サンダルウッド、シダーウッド
ボディ:ベチバー、ナツメグ、シナモン
ベース:アンバーウッド

しかしこの、残り香がフローラルに感じる現象、
フエギアのキャラアンバーでも起きたんですけど、何なんでしょう。
何か別の香料の一要素を、私が何かしら花の香りと感じているのでしょうけども…