嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

エッセンス レア / ウビガン

ウビガンといえばケルク フルールなのでしょうが、
昨年末、某香水サイトにおけるプレゼント企画でいただいたこのサンプル。

好きな香り、今年よく使用した香りをお伝えすると、
好みに合致しそうな香りを数点セレクトして送っていただける親切なシステムで、
そのうちのひとつがエッセンスレアだったのです。

アトマイザーに鼻を近づけると、少しアニマリックにも感じられるオリエンタルなフローラルが香ります。
これは個人的に懐かしい(昔よく使っていた)タイプの香りだ、と思いつつプッシュ。

意外なほど清楚なフローラル。すまんが私はこれがなんの香りなのかわからない、スズランなのかな?
さきほどのオリエンタル感はどこへやら、クラシカルでパウダリーな、「真っ白」な香りに逆に面食らいます。

ところが、その真っ白はほどなく天に召されるように掻き消え、
なんだったんだ…?とか思っているうちにさきほどのオリエンタルがじわりと立ち昇ってきます。
マンダリン、インドールばりばりのジャスミン、ローズ、オークモスはしっかりと感じられますが、
同時にハチミツのような、こってり黄金色のアンバー(?)の甘さ。

極彩色の大輪の花々で埋め尽くされた広場には金色の光が降り注ぎ、
色とりどりの衣装を身に纏った人々が楽しげに談笑したり、踊ったりしながら思い思いに時を過ごす楽園、
みたいな絵が目に浮かびます。大げさじゃなく目に浮かびます。

さらに数十分のうちにこの金色が天に召されると、
最後はこれまた打って変わって懐かしい昔の香り石鹸のようで、ちょっと母や祖母の鏡台のようでもある、
粉っぽくて少し艶めかしい、でも不思議と心が落ち着くクラシカルな香りに。

このラストノートが数時間続きます。意外と長寿ではないです。

全体の流れを見るに、なんだか白昼夢のような作品だなと思う。
わりと刹那的な雰囲気の、でも全体が不思議と地続きになってもいる、
高揚感と懐かしさや郷愁みたいなものも同居する香り。

こういう香りを、古臭さばかり感じさせないようにまとめあげてるところといい、さすがのエレナです。
これちゃんとボトルで欲しいんだけど、少々入手しづらいのが難点か。
あと、香りはともかくボトルに関しては、1976年バージョンが私は好きだなー。

ウビガン(Houbigant)
エッセンス レア(Essence Rare)
Type:EDP
Launch:2018年
Perfumer:Jean Claude Ellena
Top Note:マンダリン
Middle Notes:ジャスミン、ローズ、スズラン
Base Notes:サンダルウッド、オークモス、アンバー、バニラパウダー