嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

ゴールド / ピュアディスタンス

香水好きな人ほど、過去から現在に至るまで様々な香水を試し、
自分の好きな香りはもちろん、
苦手な香りの系統や香料などの要素を把握しているものと思います。

念願のピュアディスタンスを10種類試香してもっとも驚いたのは、
好きな香りはもちろんのこと、
これまで苦手と認識していたはずの香料が前面に出ている香り(10種類もあればそりゃあそういう香りもある)ですら、
自分の心身にとって非常に心地良く感じられたことです。

そして、むやみやたらとニオイが拡散しないかわり、
濃い香りの層とでもいうような空気が自分の身体を包み込むかのような、そういう香りかたをします。
高品質の香料だけを使ったパルファンとはこういうことなのか、ということの「体験」ができます。

結果、どの香りもボトルで購入したくなってしまうのですが、そういうわけにもいきません。
どうにかこうにかひとつ選択するとしたら、私の一番のお気に入りはゴールド。
色温度高めのゴールドというカラーを表現しているような香り。

ベルガモット、マンダリンなどで始まり、
ジャスミン等のフローラルをメインとし(嬉しいことに私の肌ではここが強めに出る)、
最後はベンゾイン、トンカビーン等の甘いパウダー感が下から出てきてゆっくりゆっくり消えていく、
香り全体としてはたぶん特別目新しさのない作品かと思うのですが、
だからこそ際立つ普遍的な良さ、ごまかしのきかない品質の高さ。

甘く温かいのに暑苦しさやしつこさがまったくなく、いつまでも包まれていたい香り。
背筋を正し、年齢相応の、気品ある服を纏いたくなるのに、
同時にとてもリラックスしてしまうような香り。

※上記は過去某所にアップした文章に加筆・修正したものです。


個人的な好みの話ですが、
「珍しい」「個性的である」というようなことそのものに対して、
私は基本的に、あまり大きな価値を感じません。
別に、悪だとか無価値だとか思っているわけでもないですが…

宇多田ヒカルさんの言葉で好きなのがあって

奇をてらって周りと違うことして目立とうとしても、それは他の人たちに対するリアクションに過ぎない。本当の個性、オリジナリティーは、普遍性の中に見い出すものだと思う。

というものなのですが、私はこの内容に完全同意します。

ピュアディスタンスは、どの香りも大雑把に嗅ぐと、「どこかで嗅いだことがありそうな香り」ともいえます。
そういう、一見ありきたりな香りでありながら、
キラキラと輝くようにかわるがわる顔を出す香りかたといい、
身体全体をしっかりと包み込むような濃密な香り立ちといい、
嗅いだ時に多くの人が「ゴールド」の表題に腹落ちするであろう、芸術としてのその完成度の高さといい
それこそがまさに個性であり、唯一無二であると思います。


Puredistance Gold

トップ:イタリア産グリーンマンダリンエッセンス、カラブリアベルガモットエッセンス、レユニオン島産ピンクペッパーコーンエッセンス、モロッコローズマリーエッセンス、マダガスカルクローブバッドアブソリュート

ミドル:インド産ジャスミンアブソリュート、スペイン産シスタスアブソリュート、モロッコゼラニウムエッセンス、マダガスカル産シナモンバークアブソリュート

ベース:ホンジュラス産スティラックスエッセンス、ラオス産ベンゾインレジノイド、ミルラレジノイド、インドネシア産パチュリエッセンス、マダガスカル産バニラグリーンビーンズ、ベネズエラ産トンカビーンアブソリュート、カストリウムアブソリュート、ハイチ産ベチバーエッセンス

賦香率:36%
調香:アントワーヌ・リー

公式
https://puredistancejapan.shop/

(ちなみにオンラインショップ、対応が迅速・正確・親切の三拍子揃った神です…)