嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

サトリ / パルファンサトリ

伽羅だって!伽羅のイメージの香りだって!
それも中東テイストじゃなく、香炉から立ち上る香り!ワー!

と、逸る気持ちを抑えきれず、
しかしながら、伽羅を謳った香りに関しては、
これまで心底良い香りと思えるものに一度たりとも出会えていない、
という事実をすぐに思い出す、そんな浮き沈みの末に試しました。

正直、イッパツ目ではあまりピンときませんでした。
よくある地味な和風のお香の香りの中でも少し甘めのタイプの傍らに
謎の柑橘系の香りがあまり馴染まずに突っ立っている、
これは、いわゆる五味の「酸」を狙ったものなのだろうか?
香りそのものは嫌いじゃないけども、そこまで飛びぬけてはいないし
そもそもトータルで伽羅からは程遠いような…ウーン

など考えながら寝落ちして、その先の記憶はありません。

このたび、ちゃんと朝にもう一度試してみたところ
冒頭の印象としては前回とあまり変わりませんでした。

というか、例によって私の嗅覚がよほど悪いのか、
手首にワンプッシュして、以降そこに鼻を近づけないとあまり香らず
つけていることを忘れそうになる。

で、厚着してコート着て会社行って、脱いだら、
ドチャクソ良い香りがするじゃありませんか。

そうだ、これは、仕事に疲れた夜、立ち寄った都心のおばあちゃんの家の香り。
香炉で私の大好きなアレを惜しげもなく炊きながら私の帰りを待って、
「おかえり」って出迎えてくれる、あの部屋の香り…の、
めっちゃめっちゃ時間が経って、
ある種のスパイシーさだけ抜けきった後の残り香。

めっちゃめっちゃ時間が経った残り香ではあるけれど、
伽羅を炊いたあとの空気のあの香りであることには変わりない。
あー良い香り。朝っぱらから泣きそうになった。

私が、伽羅の香りで一番好きだなあと思うのは、
いわゆる聞香というのでしょうか、あの所作で、香炉を鼻に近づけて
火の温かさを感じながら、脳裏に特有の粒子を感じながら香るあの香りで
それを再現できている香水というのはこれまでに出会ったことはないし、
サトリもさすがにそれには当てはまらないし、
残念ながら今後もそのようなものは出てこないと思います。

でも、香炉から立ち上る伽羅の香気が立ち込めた部屋のような香りが
この香水ではそれなりに再現されていると思います。

したがって、当然ながら煙の要素はありません。
ウード香にありがちなアニマル感もありません。
スパイシーな感じはありますが、その主張は強くはなく
トップが落ち着けば、何かが飛びぬけて香るということもなく
全体がまとまって、伽羅や沈香らしい香気になります。

オリエンタルウッディだからといって、重厚でもありません。
沈香沈香でも、香水界で大流行した、主に中東発のあの「ウード」を期待すると、
肩透かしを食らいます。

香りとは無関係ですが、公式サイトでの香木の説明もちゃんとしていて、
好ましく感じます。
あと、価格がむやみに煽りにきていないことも。

パルファン サトリ(PARFUM SATORI)
サトリ -satori-

香調:ウッディオリエンタル

トップ:ベルガモットコリアンダー
ミドル:シナモン、クローブ、カカオ、バニラ
ラスト:オリバナム、サンダルウッド、アガーウッド

公式:http://parfum-satori.com/?pid=24444828