嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

カーナル フラワー / フレデリック マル

いつものお花屋さんに足を踏み入れると、ムワッと良い香りがしました。
しっかりと厚みのある白い花びら系のクリーミーな香り。
発生源を探してまわると、それはチュベローズでした。

さっそく買って帰宅し、花瓶に生けるとこれがまた良い香り…。

そしたら急にカーナルフラワーが恋しくなって、手首にひと拭きしてみました。

カーナル フラワー(Carnal Flower)/ フレデリック マル(Frederic Malle)
Launch:2005年
Top Notes:ウォーターフルーツ(メロン)、ベジタルノート、チュベローズ(フレッシュ)
Middle Notes:-
Base Notes:チュベローズ(ミルキィ)、ムスク

一瞬だけ感じるのは、生花の青さ。
それが、間違ってちょっと飲んじゃったシャボン玉液みたいな、
清潔だけど苦いような香りにグラデーションで地続きに変わって、
同時にココナッツ的なクリーミーさを伴って、甘いチュベローズの香りが一気にはじけます。

生花を単独で嗅いでも、ああいい匂い…ってもちろん思うんだけど
カーナルフラワーを同時に嗅いで比較してみると、まさにそのチュベローズの香りの中で
「あーもうちょっと!もうちょっとそこを嗅ぎたい!もうちょっと…!」って思う、
あのクリーミーな甘さの部分が少しだけ、「作りもの」っぽくならない安全なラインまで誇張されて、
それを嗅いだ者の快さが最大化されるような(そこらへんが「カーナル」なのか…?)、

そこにはまさに18ヶ月の試行錯誤の末に作り出された緻密なバランスがうかがえて
いやいや香水ってのはこうでないと(→生花に近ければ近いほどいいってもんじゃねんだ)!!!!!!
と、いうような気持ちになるのです。

個人的には暑い夏の時期ほどやたらと欲してしまう香りです。
よくいわれることだけど、なんでもかんでも「夏はシトラス香が良い!」というのは、
やっぱりあまりあてにならない話。

身に纏うと涼しくなるわけでもなんでもないんだけど、不思議と身体的に心地良いのは
目に映る眩しい日差しと真黒な陰影、肌に感じるジリジリと焼くような熱と、
「夏の花の香り」の整合性が取れてるからなのかもしれません。