嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

ジャスマン エ シガレット / エタ リーブル ド オランジェ

実はこのブランドのボトルデザインというか、意匠が全体的にあんまり好みではないというか、
宗教上の理由で(←一応言っとくけど比喩だからな)
トリコロールっぽいカラーリングはただでさえ避けたいところで、
ブランドコンセプトもなんだかパンクというかロックというか、
いやそういうの決して嫌いじゃないけど、
少なくとも、香水にはあんまりそういうの求めてないっていうか…
その上なんだか字面的にやかましくも感じる各作品の邦題が鼻につき、
まあそんなこんなで、長いこと試さずにおりました。

(他人に説明するのがなんとも難しかったり億劫だったりする、
とはいえ自分的には到底無視はできないようなそういう理由で、
なんとなく避け続けているブランドって、誰しもひとつはあるのではなかろうか。私にはたくさんある)

が、たまたま機会があって、ブランドでもっとも人気があるともいわれる「ゴミの花」を試したら、

おや?おやおやおや?
これはこれは、良い香りじゃありませんか…

ってなって、ちょっと心の中のハードルが下がるのを感じました。

その後、狂ったようにジャスミン香を探していた際にコレを見つけて
すんなりとサンプルをお取り寄せする気になれたのは、ゴミの花のおかげ。

エタ リーブル ド オランジェ(Etat Libre D'Orange)
ジャスマン エ シガレット(Jasmin Et Cigarette)
Type:EDP
Launch:2006年
Perfumer:Antoine Maisondieu
Notes:ジャスミンアブソリュート、タバコ、アプリコット、トンカ豆、ターメリック、シダーウッド、アンバー、ムスク

もうこれ、本当に好き。語彙力を失うほど好き。

まずは「一応オイラもジャスミンを謳ってるからさ…」とでもいう程度にインドールな香りが鼻をつき、
すぐに私の好きな絶妙なバランスの、温度高めの
(最近わかってきたけど、これはアプリコットのせいなのかも)、
そしてほんの少しの粉っぽさも伴うジャスミン。アンバーもアクセントのように感じられます。

と同時に、下の方にタバコがいるのが最初からわかります。
時間とともにインドールが引いていってキレイなジャスミンが満開に花開きつつ、
段々とタバコが存在感を増してきて、これがなんとも良い香りなのです。

このタバコはうるさくなくじっくりと持続して、
そのうちジャスミン以上の存在感を持って香り始めます。私的にその頃の香りが最高。

とか言ってるけど、近年の私は「タバコ」が入っている香りはだいたい苦手、と認識していたのです。
それは実はしばしば一緒にレザーが入っているせいであって、
要するに苦手なのはたぶんタバコではなくレザーなのであったということに今さら気づいたのと、
ここでいってるタバコというのは、当然だけどあのクッサい副流煙じゃなく、
「ヤニくさい!」と表現されるアレでもない、
あくまで火をつける前の、箱から出したてのタバコに鼻を近づけた時に香る、
あのタバコのハッパ特有の香りを指しています。私はこれを「スモーキー」とは、あんまり思いません。

この香りが好きなのは、子供の頃にオトンのタバコに興味津々で、
こっそりと嗅いだりした(あんまり興味を持つと怒られた)、
そういう懐かしい記憶と直結するから、という、
ごくごく個人的な要因もあるのだと思います。

これはボトル買っちゃうな。
いやしかし、偏見なく、先入観なく、いろいろと試してみるってやっぱり大事ですね。
わかってるんだけどね。