嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

フラクタス / リベルタ パフューム

昨年ずいぶんと話題になっていた、実在はしない「もみじの香り」をイメージしたウッディ+グルマンの香り。そういうコンセプトはそれはそれで好きですが、何はともあれ、まービジュアル全般が美しくて、かっこいい。なんかくやしい。赤基調で、全体にオリエンタルなオータムカラーで、ボトルのゴールドも最高にかわいい。特にあのパフェのビジュアルはズルい。絶対甘いもの食べたくなるし、甘い香り嗅ぎたくなるし。商売上手だな~。

そうしてひとまずはムエットをお取寄せしてみたところ、却って欲と好奇心が膨らんでしまい、久しぶりにいきなり50mlボトル買いしてしまいました。プッシュすると最初から主役のダークメープルがしっかり香りますが、トップにクレジットされているブラックペッパーなどがポイントになって、第一印象としては思いのほかスッキリさわやかです。アホだと思われるかもしれませんが、私は時々反射でクシャミが出ます。それくらいペッパーです。

そんなはじけるペッパーはすぐに落ち着いて、早くも背後にウッディの気配を感じ始めつつ、まずはこのメープルをじっくりと堪能したいところ。何しろ私は甘いものが苦手なのに、メープルにはめっぽう弱いです。メープルと書いてあったらつい手が出てしまいます。本当に単純にメープルの香りが好き。

とはいえ、モロに食べ物のにおいを身体に纏わせるのは好きじゃないんですが、フラクタスの「ダークメープル」はほんの少し焦げたような浮足立たないメープルで、不要なツヤというか、ベタベターッとした甘みはありません。エレミも効いているのか、まさにスカッと晴れた秋の空みたいに湿度低い印象。何より背後にいるウッディと一体化してまとまった香り立ちがとっても美しく、心地よいです。

そうこのウッディ。ムエットの時から好感を持っていた沈香の香り。ウードじゃなくちゃんと「沈香」をやってるのがよくわかる、さらさらとしてほんのり甘いあの香り。むやみに煙でごまかさない、ちゃんとした木の香り。それはとっても儚い香りなのに、ダークメープルに殺されることなく却って引き立って、逆にメープルに奥行きも与えつつ、全体を香水らしい香りにまとめてくれてて感じが良いです。私この香り好きだなー。

ひとつだけ残念なのが、本当に意外なほど軽くて「濃厚なラストノート」って感じで継続するタイプの香りではないこと。これは本当に良し悪しじゃなく個人的な好みに過ぎないし、もしもラストでドラマチックに変化してムンムン濃厚に続く香りだったらあれほど人気も出なかったんだろうなと思う。むしろこれはこれで秋の儚さ、慎ましい木の香りに名残惜しさを感じることができて良いのかも。

毎日…というよりはたまに気分で手が伸びて、纏えばあの秋頃の、晴れた空の明るさと、ちょっともの悲しさを含む冷たい風の感じを鮮明に思い出す、ずっとそばに置いておきたい香り。

FRUCTUS / LIBERTA Perfume
・トップ:ブラックペッパー、ジュニパーベリー
・ミドル:ダークメープルアコード、エレミ
・ラスト:サンダルウッド、グアイヤックウッド、アガーウッド
LIBERTA Perfume


※今日の1曲
こちらも2021年に好きで何度も聴いてた人たち。赤い。
後半、まるで一瞬の晴れ間のようにフリースタイルっぽくなるところがくそかっこいいし
女性のこういうガラガラした声に憧れるんですよ

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