嗅覚が鈍い

嗅覚が鈍いです

沈香 / ジェイセント

ジェイセント(J-Scent)
沈香(Agarwood):2017年

トップノート : オレンジピール、シナモン
ミドルノート : シダーウッド、ベチバー
ラストノート : サンダルウッド、アンバー、ムスク、パチョリ

多くの日本人に、きっと覚えがあるあのお寺のにおい、
シダーやサンダルの、シンと心静まるさわやかな木の香りの純粋な和のお線香の香りが、
甘み控えめのやわらかい辛口で始まり、そのまま続きます。

オレンジピールとシナモンなのかどうか、嗅覚が鈍いためよくわかりませんが
ウッスラと、イヤミなくスパイシーな感じもするのは
このあたりが効いているのか?

好ましく思うのは、
ありがちなオリエンタル感に安易に走っていないところ
(和のコンセプトがあるのだろうから、当然といえば当然なのでしょうけど)、
ムダに煙感を強くしていないところ、
それでいてベチバーやパチョリのくぐもり具合がほどよいところ。

子供の頃の、お盆の祖父母の家など思い出すタイプの
本当に和風のお線香の香りで、普段身にまとうかどうかはともかくとして
とても気持ちが落ち着いて、癒されます。

全体に主張が強くない分、そんなに長持ちするタイプでもないようなのですが
面白いのが、終盤にほんのりとだけ甘みが出てきて、
それが絶妙に「落雁」の香り、というか
まるで落雁を食べているかのような気がする香りなのです。

J-Scentでは落雁の香水もあり、そちらとは調香がまったく異なるようなのですが
とてもリアルに感じられて、面白かったです。

ちなみに表題は「沈香」です。
アガーウッドだとかウードなどの
それそのまんまな香料を使用せずに沈香を再現している香り、
というのが基本姿勢なのかなと思いますが、
そう考えると、沈香を炊いた時の香りとは、私の中ではあまりリンクしませんでした。
普通に白檀等の、上質なお線香の香りだと思います。